この日、高気圧に覆われた日本列島は各地で今年一番の暑さとなり、北海道では異例の30℃超え。

4月下旬だというのに高知でもじりじりと夏の日差しが照りつける。

「チャンスか・・・」

迷う事なく向かうのは昨日ヤツの姿を目撃し、去夏から通うあのシャロー。

まだ陽の高いうちからポイントに立ち込み、ブルーオーシャンのリップを調整しながらキャストを繰り返す。

次第に西日が山陰と重なり夕闇がにわかに追う頃、緩やかなブレイクライン沿いにボラが溜まりだした。

夏の巨大なベイトボールのほんのひと欠片、群れというには乏しいほど。

水面の街灯りを僅かに揺らめかせるじんわりとした流れを感じながらベイト下、ボトム付近をじっくり馴染ませるようリトリーブに集中する。

フルフルフル・・・

ガッ!!

ルアーの波動を感じていたリーリングする手が止まり、ベイトを引っ掛けたかとロッドを軽く煽った瞬間だった。

ジッジッジジジィーーーーーーー

もの凄い早さとトルクでロッドがフルベントを描き、ドラグが悲鳴をあげる。

以前、望さんなどからアカメの瞬発力の話を耳にしており、ヤツだと一瞬で確信すると同時に全身にアドレナリンが駆け巡る。

「絶対に獲る!」

どれくらいだろうか、ドラグ音が高音から低音域にようやく変わり何とかファーストランを食い止めた。

ここでふと去年の夏お会いたヒデはやしさんのアドバイスが頭を過る。

「もし魚が掛かったらすぐフッキングを決めず、ファーストランで持っていかせ完全にむこう向いた状態で合わせを入れるとフッキング率はぐんと上がるよ」

その言葉通り、頭をむこう向かせたままフルスイングで合わせを入れフックアップ。

同時に水中で大きく首を振りながら進行方向を変え、再び走りだした。

みるみるラインを引き出す怪力

「ヤバイ・・・この先は竹杭地獄・・・」

ロッドを限界まで曲げ圧倒的な力の差にひたすら絶え、願うのみ。

「止まれ・・・頼むっ!」

すると奇跡的にも竹杭ギリギリでヤツが怯んだ。

もうあと数メートル走られてたら・・・なんて今思い返しても青ざめる。

相手の体力も確実に衰え始め、主導権を握ると一気にショートポンピングで距離を縮めにかかる。

水面を破るヘッドシェイクがない、掛かり所が悪いのか・・・将又・・・

頭の中で様々な揣摩憶測が飛び交う中、直実にその距離を詰めてゆく。

「あともう少し・・・」

水深1メートルもないシャロー帯のお陰で魚の位置が明確に分かり、ヘッドライトでラインの先を照らすと暗闇からゆらりと不気味に紅の双玉が浮かび上がり、その軌跡が紅い残像を残す。

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そして隆々と盛り上がる体高と、鎧を纏うかのような分厚い筋肉で構成されたタフなボディーに思わず武者震い。

逸る気持ちを抑え、背中からネットを抜きランディング体勢に入ろうとすると最後の悪足掻きに出たが、体力は限界に近付いてるようですぐに浮き上がってきた巨体。

しかしこの巨体、ネットに収まるのか・・・

ひとつ深呼吸をおき、ヒデはやしさんから受けたアドバイスを再び思い起こす。

「このシャロー帯では無理にネットを使わず、そのままズリ上げた方が無難」

何が何でも獲りたいこの魚。

そのアドバイスを冷静に判断し、横たわる巨体を引きずるように誘導して慎重に護岸を目指す。

「もう少し・・・あともう少し・・・」

緊張と不安と興奮と嬉しさ、全ての感情が入り交じりこの時間がとてつもなく長く感じた。

そうして・・・


まるで龍神を思わす背ビレ

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うちわのような巨大な尾

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ルビー色に光る目玉に固く分厚い唇

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紛れも無い事実、夢にまで見たアカメを前に出てくる言葉は感無量の一言。

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誰も居ない浦戸湾で全身に込み上げてくる熱いものが絶頂に達した瞬間やった。

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下顎にガッチリと掛かった2番フックは引き伸ばされ、ささくれ立ったズタボロのリーダーがギリギリの戦いだったことを物語る。

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105cm・・・

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(重量は今回独りだった為、魚へのダメージを配慮し行いませんでした)

初めてアカメを手にする僕には十分過ぎるサイズなのかもしれない。

でも次のステージが見え、更にふつふつと鼓動が沸き立つ瞬間でもあった。

無情にも「もしメーターを獲ったら剥製に」なんてヤボなこと考えてたけど、実際手にしてみたらこの魚が愛おしくて愛おしくて・・・

このまま一緒に浦戸湾の暗闇に消えたいくらい愛おしくなるんよ(笑)

だから全国各地からみんな此処にやってくるんやろうね。

別れを惜しみながらじっくり時間を掛けて甦生を行い、更なるモンスターになってまた闘えることを願って・・・

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さようなら〜〜〜


色んなご縁や運が積み重なって出会えたメモリアルフィッシュ。

出張中にも拘らず、すぐに連絡をくれ自分のことのように喜んでくれた望さんをはじめ、電話やメール、SNSで祝福のメッセージを下さった皆さん。

また、ここ浦戸湾でお会いした方々、そしてほったらかしにしてた彼女・・・

みんなに感謝。

本当にありがとうございました!


高知アカメ遠征 2015 春の陣 ④に続く



Tackle Data
Rod : VARIANT REXEATER 9.9
Reel : 09 TWINPOWER SW4000XG
Lure : K-TEN BLUE OCEAN BKF115
Line : DONPEPE 8 35lb
Leader : morethan LEADER X'treme TYPE-F 40lb